研究日記(H28.5)

31日(火)
・院ゼミでは引き続き関(2015)『中山間地域の「買い物弱者」を支える: 移動販売・買い物代行・送迎バス・店舗設置』(新評論)を輪読しており、きょうは秋田県横手市で無料送迎バスを運行している地元スーパーの事例などを勉強します。年間の赤字額が200万円近いなど「持ち出しの多い取り組み」ながら「地域に育てられたことへの恩返し」で9路線を展開するまでになったこの事例ですが、果たして「人々の思い」でこの先継続できるものなのでしょうか。車両の更新費等への公的助成の必要を感じます。
・一部の院ゼミ生がGIS(地理情報システム)の勉強を始めています。GISは、交通や地域研究の分野には欠かせない技術であると考えています。

30日(月)
・藤井・谷口・松村編著(2015)『モビリティをマネジメントする』(学芸出版社)の第2章にて帯広の十勝バスの成功例が紹介されています。バス社員が沿線住民宅を一軒一軒回った結果、バスの利用者減少の原因は「不便だから」以前の問題つまり「乗り方が分からず不安だから」であることが明らかとなり、これを踏まえて路線別・目的別の時刻表の沿線住民への配布や、乗り方ガイド付きのバスマップの全世帯配布を行った、など非常に興味深い内容となっています。和歌山市でもwap(和歌山都市圏公共交通路線図)の大々的な配布を行ってきましたが、平成27年度に行われた「公共交通機関に関する市民意識調査」(対象は16歳以上の市民3000人から無作為抽出、郵送配布・回収、有効回収率32.6%)で路線バスを利用しない理由として全年齢層で「運行時刻や運行ルートを知らないから」が最多となるなど公共交通に関する情報提供のあり方が大きな課題となっています。wapをただ単に配るだけでは駄目であり、帯広の例も参考にさらに細やかな情報提供施策の打ち出しが必要と思われます。
・関西鉄道協会の都市交通研究所より研究委員就任のお誘いを頂きました。鉄道業界のお歴々や著名な先生方の中でどのような貢献ができるものかとも思案しましたが、興味深いテーマですので参加させて頂こうと思っています。

29日(日)
・研究日記を書き始めて約二ヶ月が経過しました。何とか欠かさずに書き続けることが出来ています。

28日(土)
ハラスメントについて調べていて、「モラハラ傾向と対策まとめ」という非常によくできたサイトに行き当たりました。「モラハラ傾向と対策まとめ」には、モラハラ加害者となる可能性の高い人や、被害者となりがちな人の特徴についての説明もあります。加害者になる可能性の高い人の行動・思考パターンは、一見外交的、最初は優しい、謝らない、等だそうです。大学関係者には一読をお勧めします。

27日(金)
・辻本研究室所属のドクターコース生が札幌で開催される第53回土木計画学研究発表会(春大会)へ出陣します。24日のゼミナールで直前の発表練習を行ったところ、要修正箇所がいくつか見つかりましたが、なんとか乗り越えて2本目の査読論文掲載を目指して頑張って頂きたいです。和歌山大学観光学研究科では、現在のところ、単独執筆の査読論文を少なくとも3本は書かないと博士になれないのです。日本における観光学研究の拠点として新設された研究科ですから、厳しさも当然かと思います。

26日(木)
・「「予約の取れない店」が3年で閉店に追い込まれる理由」という興味深い雑誌記事を見つけました。筆者は「あなたが大好きなお店が続くために」として「答えは簡単です。ちゃんと通えばいいんです。」と述べています。この記事の内容は、「過去には繁盛していた鉄道やバスが廃止に追い込まれる理由」に通ずるものです。マイカーでの移動に慣れた人にとって「鉄道やバスをちゃんと毎日使う」はとても難しいことかも知れませんが、「鉄道やバスをちゃんとたまには使う」ならできませんでしょうか。県の「平成26年度和歌山県公共交通機関等資料集」によると、県内の鉄道乗降客数のピークは昭和50年前後で、約1億人です(S50年度が1億656.3万人)。平成26年度には6468.3万人にまで減少しています。1億656.3万人−6468.3万人は4188万人ですが、これを県人口97万(H26.10.1推計人口)で割ると43、これを12(ヶ月)で割ると3.58です。つまり、単純計算ですが、県民が月に2日ずつ(往復で4回ずつ)でも鉄道利用日を増やすようにすれば昭和50年前後の乗降客数を取り戻すことができるわけです。高知県は「520運動」を推進しています。
・4月から仕事の進行ペースが明らかに落ちています。その理由は4月から研究室付の秘書(事務補佐員)さんが不在となっているためです。電話対応や会議室予約などの秘書業務、根気のいるデータの入力作業、各種の申請作業等々して頂ける人がいなくなることの影響は非常に大きいです。事務補佐員さんがいることで一段と仕事に力が入る(目があるのでさぼれない!)というメリットもあります。研究費にメドがついたため6月から再度来て頂くことにします。

25日(水)
・分担執筆中の『大学的和歌山ガイド』は、当初の締め切りを既に1ヶ月近く過ぎているのですが原稿がまったく出そろわず、新しい締め切り日が6月末に設定されました。どの先生もご自分のペースで執筆を進めているようです。私も一息つくことができました。

24日(火)
・平成27年の合計特殊出生率が1.46に上昇。1.45を超えたのは21年ぶりだそうです。

23日(月)
・謡曲「藤戸」の稽古が完了しました。次は金春禅竹作「俊寛」です。藤戸に続いて九番習の難しい曲目になります。仕舞「井筒」はもう一歩です。

22日(日)
・太陽光発電の見積もりを取りました。現在一般的に市販されている住宅用太陽光パネルで最も変換効率の高いものは東芝製の20.1%、次いでシャープ製の19.7%、パナソニック製の19.5%となっています。

21日(土)
・土曜日の静かなキャンパスで耳を澄ますと色々な鳥の鳴き声が聞こえてきます。

20日(金)
・本日は空気が濁っています。環境省の大気汚染物質広域監視システム「そらまめ君」によると、14時現在の和歌山市(市立和歌山高校測定局)のSPMは0.030mg/m3、PM2.5は23μg/m3となっています。これくらいだと下の写真のような澄み具合になるのですね。PM2.5が23μg/m3ということは、北京の一番ひどいとき(非常に健康に悪いことを示す赤色警報が出る250μg/m3以上)に比べれば1/10以下です。
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19日(木)
・和歌山電鐵貴志川線と南海電鉄加太線に関する新聞記事数の推移をグラフ化してみました。左の線グラフは「日経テレコン21」を用いて、「貴志川線 または 和歌山電鐵」「加太線」を含む記事数を年別に数えたものです。対象紙は日経テレコン21に2002年分以降の記事を登録している次の各紙です。全国紙:日経(朝刊、夕刊、地方経済面)、産経、読売、 毎日、朝日。一般紙:北海道、河北新報、山形、茨城、下野、東京、北國、富山、福井、 信濃毎日、岐阜、静岡、中日、京都、神戸、山陽、中国、徳島、四国、愛媛、高知、西日本、佐賀、長崎、熊本日日、宮崎日日、南日本、琉球新報、沖縄タイムズ。2015年の貴志川線関連記事数の急増は、猫の駅長たまが6月22日に亡くなり、その後ニタマがたま鏡け慊垢箸覆襦8月11日)などの大きな出来事があったことによるものです(2枚目の縦棒グラフをご覧ください)。加太線に関する記事数からは、「加太さかな線プロジェクト」(2014年11月1日開始)の効果はまだ明確には読み取れませんが、観光列車「めでたいでんしゃ」が2016年4月29日から走り始めましたので今後の活性化に期待したいところです。
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18日(水)
・今年度も教員活動状況評価の時期になりました。これから数週間のうちに、原則すべての教員が研究、教育、管理運営、社会活動の4分野について、ここ3〜5年の成果を細かく評価用のデータベースに書き込むことになります。総合評価にはSからDまでの5段階があり、国立大学の教員として普通に頑張っていればB、それよりもプラスアルファで頑張っていればA、さらに頑張っていればSを頂けるはずです。

17日(火)
・引き続き謡曲「藤戸」、仕舞「井筒」を稽古中です。風の音を聞きながらゆったりと舞う井筒の稽古は大変印象的でした。

16日(月)
・和歌山市のぶらくり丁の休日の通行量は2006年8月が8279人、2010年8月が4506人で、その後のデータは見つかりません。富山市の中心商店街である総曲輪の休日の通行量は2006年が8421人とぶらくり丁とほぼ同じでしたが、2010年が9035人、2011年が13155人、2014年は9036人です。2006年と2011年を比べれば富山型コンパクトシティは効果ありと見えますが、2011年から2014年の減少はどうしたことでしょうか。それでも和歌山市ぶらくり丁の状況に比べれば上々とみることもできます。なお富山市の数字は、総曲輪フェリオ北西側の通行量と旧富山西武南側の通行量の合計の年平均値です。(富山市関係のデータの出典は富山市「平成26年度認定中心市街地活性化基本計画のフォローアップに関する報告」および富山市「平成27年度富山市歩行者通行量調査報告書概要版」、和歌山市関係の出典は和歌山市「和歌山市中心市街地活性化基本計画」、和歌山地域経済研究機構「ぶらくり丁活性化・再生研究会報告書」 )

15日(日)
・現在の中心市街地活性化基本計画の認定数は133市197計画。和歌山市も平成19年8月から24年3月を計画期間とする基本計画の認定を受け、「城まちハッピーロード」なるものの歩行者・自転車通行量を9762人から22500人へと2.3倍にするなど3つの目標値を掲げていましたが達成できず、とうとう第2次計画の策定も行われないまま今に至っています。城まちハッピーロードはその名称すら定着しておりません。下の写真は、城まちハッピーロードの一部をなすキーロードの様子です。和歌山市駅からぶらくり丁への道をみかん色にカラー舗装した効果のほどはいかに。今では色あせたままの状態で放置されてしまっています。

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14日(土)
・トランジットモールでのトラムの事故はどれくらいあるのでしょうか。遠藤ほか(2012)「錯綜挙動に着目したトランジットモールの安全性に関する研究 (ドイツ諸都市のトラム走行空間を事例に)」『第46回土木計画学研究発表会・講演集』によると、2010年度版のドイツの道路事故統計データより、ドイツの都市内でトラムが第一当事者となった事故件数は少ないものの、歩行者との事故が起こる割合が高く、事故が発生した場合には乗用車等と比較してやや死亡事故になりやすいとのこと。また、都市内でも特にトランジットモールで発生した事故については、Erfurt,Chemnitz,Halle,Kasselの各市提供のデータより、2007年から2011年までにこれらの各市でそれぞれ年間1件前後の事故があったとのこと(ただし各市のトランジットモールの延長には70mから2km程度までの幅がある点に注意)。

13日(金)
・米オバマ政権は13日に、トランスジェンダーの生徒が性自認に応じてトイレを使用できるよう、全米の公立学校区と大学に義務付けました(AFP−時事)。日本の学校でもこれから同様の動きが起こり、ジェンダーフリートイレの設置事例が増えていくでしょう。交通分野でも駅・バスターミナル・空港・港のトイレの利用や女性専用車両の利用等々について、LGBTに関する「心のバリアフリー」も含めて議論する必要があります。

12日(木)
・某自治体より総合戦略の評価委員長をお願いしたいとの連絡あり。別の自治体より都市地域総合交通戦略策定のための委員就任の打診あり。重要な社会貢献活動になるのでいずれもお受けすることとしました。大学教員の仕事には研究、教育、管理運営、社会貢献の4本柱があります。それぞれの柱への力の入れ方は人によって違うのですが、私は研究3、教育3、管理運営2、社会貢献2くらいの配分を意識するようにしています。理想は研究4、教育3、管理運営1、社会貢献2です。

11日(水)
・某財団助成金の申請書類作りで一日が終わってしまいました。システム工学部前のビオトープではカキツバタが見ごろを迎えており、ひととき癒やされたのでした。「から衣 きつつなれにし つましあれば はるばる来ぬる たびをしぞ思ふ」(在原業平)
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10日(火)
・院ゼミでは今週から関(2015)『中山間地域の「買い物弱者」を支える: 移動販売・買い物代行・送迎バス・店舗設置』(新評論)を輪読しています。ヤマト運輸のまごころ宅配便は全国100数十市町村に広がりを見せているのだとか。スーパーにとっては市場拡大、ヤマト運輸にとっては宅配取扱量の拡大と社会貢献によるイメージの向上、社協はヤマトのドライバーから精度の高い見守り情報の入手と三者三様のメリットがあるよいシステムです。この他、鳥取県では移動販売車に乗って看護師がやってくるシステムも展開されているそうで参考になりました。
・3年生のゼミナールの1冊目のテキストは藤井・谷口・松村(2015)『モビリティをマネジメントする コミュニケーションによる交通戦略』(学芸出版社)です。MMの関連資料はJCOMMのサイトに掲載されていますので有効に活用しながら勉強を進めていただきたいです。ちなみに同書第1章で交通まちづくりの成功事例として取り上げられている京都市の自動車分担率(平日)は過去10年間に28.3%から24.3%へと縮減していますが、和歌山市の自動車分担率(平日)は同期間に49.0%から52.9%へ上昇(悪化)しています。和歌山市の休日はさらにひどく、60.8%が69.1%へと大幅に悪化しています(近畿圏PTより算出)。

9日(月)
・本日の交通システム論のグループレポートは「コンパクトシティの基本特性を満たす仮想都市のイメージ図を描きなさい。分かりやすいように適宜説明文をつけること」でした。受講生はいつもよりも賑やかに議論をしながら、アカデミックな「お絵かき」を楽しんだようでした。

8日(日)
・ゴールデンウィーク最終日。野蒜が収穫時期を迎えました。

7日(土)
・防災関係の仕事で大いに活躍中のゼミ卒業生が研究室を訪ねてくれました。ステップアップの道が決まったそうで、さらなる発展を応援したいと思います。災害と言えば洪水、内水、高潮、津波、土砂災害、火山などがありますが、全国のハザードマップを調べたいときには国土交通省のハザードマップポータルサイトが便利です。和歌山市の防災マップ(地震・津波)地区詳細図はここにあります。

6日(金)
・今月のナショナルグラフィックの特集は「自然と人間」。数日キャンプ場で過ごすなど、自然にゆっくり浸ることで精神が浄化され、創造力が5割アップする等の効果があるとか。心理学ではこれを「3日効果」と言うそうです。それにしても『大学的和歌山ガイド』の原稿締め切りが迫っているというのに、3連休後で創造力が高まっているはずの私の筆が一向に進まないのはなぜなのか。心理学ではこれを何効果というのでしょうか。

5日(木)
・海南市の亀池へ行きました。徳川吉宗の時代に井澤弥惣兵衛の計画で築造されたこのため池は、和歌山県では唯一、農林水産省のため池100選に選ばれています。1周4kmの遊歩道が整備されていますが、バーベキューが禁止となった影響か訪れる人も少なく、静かに快適に散策することができました。IMG_3125








4日(水)
・連休2日目です。珍しくきちんと休んでいます。

3日(火)
・本日より3連休です。

2日(月)
・「交通まちづくり調査研究」の現地調査参加者より、「和歌山は道路が遅れている」の声多数あり。国土交通省「道路統計年報2015」で都道府県別の一般道路の現況(平成26年4月現在)を見ると、改良率(車道幅員5.5m以上の率)では下から順に茨城県41.4%、和歌山県45.8%、徳島県46.1%、高知県46.6%で、全国計は61.0%、大阪府は74.5%で上から3番目です。整備率(車道幅員5.5m以上かつ混雑度1.0未満の率)では下から順に茨城県40.0%、徳島県43.5%、和歌山県43.8%、奈良県44.8%で、全国計は58.9%、大阪府は70.8%で上から4番目です。

1日(日)
・和歌山市北部のため池群を探索してきました。写真のため池は直川地区にあり、口ノ池、中池、奥池、奥新池という4つの池を連ねた比較的珍しいであろう(専門外なのでわかりませんが)四連ため池となっています。なおため池の名称を手軽に調べたい時は、ゼンリンの住宅地図を参照するのが良いでしょう。グーグルマップや国土地理院地図では主要なため池の名称しかわかりません。
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