研究日記(H28.7)

31日(日)
・完全に休み、紀州黒潮温泉へ行きました。

30日(土)
・和歌山工業高等専門学校へオープンキャンパスを見学に行きました。

29日(金)
・和歌山市の主要道路に休憩用スペースはどれくらい整備されているのでしょうか。国、県、市の担当部署へ問い合わせましたが、いずれも把握していないとのことでした。県内では太地町が町内各所に多数のベンチや美しいトイレの整備を進めており、この点では最先端事例であると考えています。ベンチでお年寄りが休んでいたり、中学生が学校からの帰り道にベンチに座って話していたりと、大いに活用されています。休憩用スペース設置の素晴らしさを体験しに一度太地町へ行ってみてください。

28日(木)
・本日、辻本太陽光発電所がオープンしました。わずか6kwにも満たない規模ですが、拙宅の電気代をタダにするだけの能力を持っています(節電すれば、ですが)。家族に節電の教育をしてきっとタダにして見せます。

27日(水)
・ゼミナールの研究発表で特にがっかりするのは、コピペで作られたレジュメを見せられたときです。資料をそっくりコピペし、語尾だけ変えてそれらしく仕立てたレジュメを見せられたときの落胆は・・・。しかもそれが研究者の端くれであるはずの院生のレジュメだったときの落胆は・・・。がっかりな気持ちを抑えてコメントはしますが、本来ならば、やり直してこい、帰りなさいと突き返すのが適切なのかも知れません。

26日(火)
・大学院ゼミナールでは引き続き藤山(2015)『田園回帰1%戦略: 地元に人と仕事を取り戻す』を読みます。本日読むのは第3章です。小規模コミュニティにも対応できるわかりやすく更新しやすく処方箋も出せるという人口分析・予測プログラムを開発し、適用した事例が紹介されています。「あと何組増やせば地域の人口が安定化するか」を知った上で具体的な対策を打つことが出来るとのこと。域外からの定住などにより、おおむね地区人口の1%強ほどを毎年増やすことで安定化する、とのことです。小規模地域ごとの分析を市町村の人口ビジョンや県の人口ビジョンにまとめていけば自治体としての定住目標と支援方策も具体的に定まってきます。「あせって集中的な是正を図ると必ず長期的な反動がやってきます」1%ずつゆっくり進めることで、定住者を無理なく受入れ溶け込ませることもできるし、環境破壊にもつながりにくいといった主張が展開されています。

25日(月)
・学部講義「交通システム論」「交通まちづくり調査研究」の15回目が終了し、あとは定期テストとレポート提出を待つだけとなりました。「交通システム論」については昨年度より通常の講義を50分、アクティブラーニングを40分(うち単独ワーク15分、グループワーク25分)の構成としています。通常の講義で情報をインプットし、単独ワークで基本的な事項を整理させた上で、グループワークで学びを発展・定着させる、といったイメージで進めています。通常の講義では半ば寝ているような学生でも、アクティブラーニングでは目を皿のようにして資料を読み、議論に参加しています。チャイムが鳴ってもまだ延々と議論しているグループすらあります。

24日(日)
・本日は完全に休みました。庭のセンダンの大木をばっさりと剪定しました。

23日(土)
・地域連携・生涯学習センターより「和歌山市との連携に関するテーマ」の募集がありました。市と大学の包括連携協定のもと、平成22年度からこれまでに「まちかど土曜楽交」ほかいくつもの事業が行われてきたそうです。交通分野での事業はこれまでありませんでしたので、構想を練ってみることにします。

22日(金)
・和歌山市公共交通政策推進協議会(地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく法定協議会)と、道路運送法に基づく和歌山市地域公共交通会議が開催されました。前者は「和歌山市における持続可能な公共交通ネットワークの構築とコンパクトシティの実現に向けたまちづくりとが一体となった総合的な交通施策を推進するため」にこのほど新設された協議会で、メンバーは公共交通事業者(鉄道、バス、タクシー、船舶、協会、労組)と関係行政機関(国の運輸支局と河川国道事務所、県の総合交通政策課と振興局、警察)、市民、和歌山市(企画、福祉、道路、観光、都市計画)と学識経験者です(事務局は市交通政策課)。和歌山市において、交通政策と福祉・道路・観光・まちづくりといった関連諸政策の連携のもと、関係者が一堂に会して、人と環境にさらに優しく、かつ財政的にも経営的にも持続可能な公共交通体系づくりを総合的かつ計画的に推進していくことには非常に大きな意義があります。当面は「和歌山市地域公共交通網形成計画」の策定(平成30年度の予定)に取り組むこととなりますが、協議会委員のみなさんが目的を共有し、その実現に向けて積極的な議論を展開し、網形成計画の決定後は関係者が力を合わせて取り組むといった状況になればと考えています。

21日(木)
・某市町村より、著名な移動販売業者の進出により、長年続けてきたコミュニティバスの利用客ががた落ちとなっているとの相談を受けました。買い物は移動販売・ネットショッピング・お届けサービスといった「買い物支援サービス」で、通院は各クリニックの送迎車で、通学についてはスクールバスで、レジャー等はタクシーで、と目的別に個別の対応が行われる時代になってきているのでしょうか。そうだとすれば多種多様な移動目的に対応してきたコミュニティバスの役割はどうなってゆくのでしょうか。コミュニティバスも何らかの移動目的に特化した形へと役割を移してゆくことになるのでしょうか。「民間でできることは民間で」の考え方に照らせば、移動販売業者やクリニックなどに地域の買い物課題や医療課題の解消を出来る範囲でお任せしてしまうのも手かとは思います。「移動販売に安否確認等のサービスを付随させることは、現在の居住地が不便であるため転居したいと回答した者であっても、その転居を控えると回答するほど強い影響」(森・西村・谷口(2015)「買い物支援サービスの利用意向とその促進に向けた一考察」『土木学会論文集D3(土木計画学)』 71(5),I_839-I_848)があるなど、田園地域の衰退に歯止めをかける効果も見込めます。しかし民間主導のデリバリー型サービスのもとでは、必ずそのサービスの網から取り残される方や取り残される移動ニーズが必ず出てきます。そこをどうするか。

20日(水)
・某市町村の長期総合計画審議会の会長に就任しました。長計は、その市町村の今後10年間の行政全般の指針となるまちづくりの最上位計画ですので、注意深く審議を進めて行きたいと考えています。
セブンイレブンの食品工場はどこにあるのか、調べてみたところ、非常に分かりやすいサイトがありました(出典は日本デリカフーズ協同組合)。

19日(火)
・ゼミナール室の室温について、3時間目の3年生と4時間目の4年生に快適かどうかを尋ねました。25.5度程度であった3年生は良い、24度台だった4年生はやや寒いとのことでした。学生にとっては丁度良いのでしょうが、私にとって冷房下の24-25度はあまりに寒すぎ、頭が回転しなくなってしまうような室温です。夏場はうっすらと汗をかくくらいの室温を好みます。この日記を書いている今現在の室温は31度ですが快適に感じます。
・大学院ゼミナールでは引き続き藤山(2015)『田園回帰1%戦略: 地元に人と仕事を取り戻す』を読みます。本日読むのは第2章です。「田舎の田舎」には定住実績で先行する事例があり、その一例が総合病院まで車で40分かかる益田市匹見町道川地区で、そこでは学校を拠点とした地域ぐるみの教育が展開されているとのこと。「田舎でしかできない教育の魅力は日本の未来にとっても大切」であり、小学校の統廃合は安心して子育ての出来る環境を破壊することになる等の主張がなされています。本日の発表を担当した院生から、田園回帰と財政負担増に関する論点が提示され、別の院生から全校生徒10人の中学校で校長教頭含め5人の先生が「仮免許」という制度を使い専門外の教科を掛け持ちする厳しい実態の紹介がなされたのち、ITを活用した僻地教育の可能性の議論へと進みました。

18日(月)
・海の日のため、完全に休みました。高枝鋸で庭のセンダンの手入れをしました。

17日(日)
・きょうのオープンキャンパスで「交通まちづくり調査研究」のポスター発表をする一部の学生たち(グループC)が昨夜本気で頑張ったようで、早朝に届いた原稿の出来映えは見事なものでした。和歌山大学経済学部生の底力は素晴らしいです。他のグループも本番ギリギリまで原稿の仕上げを行うなど最後の頑張りを見せてくれました。ポスター発表の本番では各グループが約2時間で延べ150人あまり(!過去最高)に上る来場者に対して積極的に話しかけ、代わる代わるプレゼンをし、貴重なコメントを頂戴していました。

16日(土)
・あすのオープンキャンパスで「交通まちづくり調査研究」受講生が3グループに分かれてポスター発表をします。きょうと明日の午前はその原稿の最終チェックをしています。3グループともまだ合格(ポスター掲示可)は出ていません。
・オープンキャンパスの学部紹介で、学生委員会委員長として「学生生活、課外活動、健康管理について」の説明を担当します。学生委員会は学生の支援、懲戒等を担当する委員会で、教務委員会、入学試験委員会と並んで俗に「3委員会」と言われています。学部には他にもたくさんの委員会があるのですが、中でも特に重要な3つの委員会という意味です。たくさんの優秀な学生に受験して欲しいので、たった10分の説明用スライド作りにかなり熱が入ってしまいました。

15日(金)
岬町コミュニティバスの「乗り継ぎ支線」を視察しました。「基本路線」と「乗り継ぎ支線 多奈川西畑ルート」が接続する楠橋バス停では、基本路線から降車した高齢女性が、乗り継ぎ支線が到着するまでの約14分間を、真夏の強い日差しの中、日傘を差してベンチに座た状態でじっとお待ちでした。幹線と支線を分けるゾーンバスシステムをとる場合は、接続バス停に快適に待てる環境を用意するか、接続時間を最小限にするようダイヤを工夫する必要があります。同町地域公共交通会議で議論したいと思います。

14日(木)
・本日は午前に和歌山市交通政策課との会議があり、午後は教授会ほか学部内の会議が目白押しとなっています。和歌山市では平成29年度に「和歌山市地域公共交通網形成計画(仮称)」を策定予定であり、それに向けた協力を進めていかねばなりません。ちなみに県内では橋本市が県下第一号となる地域公共交通網形成計画の策定を今年度予定しています。

13日(水)
・経済学部ではゼミナール生の募集に向けたプロセスが始まりました。先日から講義棟1階にゼミの紹介文が掲示されており、オープンゼミ(お試し参加のようなもの)も始まっています。10月になるといよいよ学生からゼミナールの希望届けが提出され、定員超過のゼミでは選抜が行われます。辻本ゼミナールは昨年と3年前に応募者数が学部でトップ(倍率2〜3倍程度)になりました。専門分野が学生にとって比較的親しみやすいものであることや、厳しすぎず甘すぎずの演習内容、学外調査、学生の自主性を尊重した運営スタイル、就活や留学等との両立への配慮などが人気の背景にあるのではないかと思っています。
・辻本ゼミナールの紹介文には「日本の文化や伝統を大事にする人なら、さらに歓迎します・・・担当教員が日本を愛しているため」とあります。教育基本法の第二条の五には「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。 」という教育の目標が謳われており、大学教育においてもこの目標を遵守することは当然の責務であると考えています。国立大学であれば尚更のことです。
・旭硝子財団の「人文・社会科学系研究奨励」(持続可能な社会の実現に向けた人文・社会科学的な研究)の募集が始まりました。

12日(火)
・大学院ゼミナールでは本日より藤山(2015)『田園回帰1%戦略: 地元に人と仕事を取り戻す』を読みます。0章から1章では、高度成長期以降の国づくり・地域づくりを動かしてきた社会原理は「規模の経済」、設計原理は「大規模」、「集中」、「専門化」、「遠隔化」であるが、このもとで人口増加地域が次々と生まれては消え、東日本大震災・津波で湾岸部の集積が一気に破壊され、東京の高齢者が倍増するなど、過疎地も都市もそして東京も行き詰まりを見せていること。これからの持続可能な国・地域づくりは、「小規模」「分散」的な機能を「複合化」し「近隣循環」させるという、これまでとは真逆の考え方であること。社会を循環型にし転換し、地元(小学校区や公民館区)を循環と定住の基本単位として創り直し、日々の暮らしが仕事の犠牲になるような状況を改めること。そういった提案がなされているようです。
・引き続き観世流仕舞「東北」クセ、謡曲「俊寛」を稽古中です。お仕舞では力を抜くことを意識しました。「俊寛」では、赦免使が喜界が島にやってきたが、俊寛だけが赦免のリストから漏れている、という悲劇の場面を繰り返し稽古しました。赦免使かよく来たね、どれどんな内容かなといった感じで余裕をこいていた俊寛が、自分ひとりがリストから漏れていると知って「何とて俊寛をば読み落し給うぞ」「さては筆者の誤りか」と慌て、「こは如何に罪も同じ罪」云々と狂わんばかりに声を高くハッて怒り、「ひとり誓ひの網に漏れて」と次第に沈みこんで最後は泣き伏します。

11日(月)
・「数字でみる自動車」2015年版、2007年版によると、バスロケーションシステムの導入系統数は2000年3月末が3420系統、2005年3月末が4901系統、2010年3月末が10720系統、2013年3月末が12656系統です。ICカード導入バス車両数は、2000年3月末が351、2005年3月末が4610、2010年3月末が31803、2013年3月末が34244です。急速に普及してきたバスロケ、バスのICカードですが、残念ながらいずれも和歌山市では実現していません。
・参議院選挙の結果、憲法改正に前向きな勢力が議席の3分の2超となり、憲法改正案の発議のための条件が整いました。自主憲法の制定に向け、いよいよかと思います。

10日(日)
・本日は完全に休み、太陽光発電の工事に対応しました。

9日(土)
・参議院選挙の期日前投票を行いました。

8日(金)
・総務省統計局・和歌山県共催の「統計データ利活用シンポジウム」を聴講しました。パネルディスカッションに出演された和歌山県立医科大学の下川先生のお話や、県企画部長の高瀬さんのお話から、「統計データのさらなる利活用で地域課題の解決にどのような光明が見えてくるのか」を具体的にイメージすることができました。
・統計局の一部機能が東京都新宿区若松町から和歌山市に移転する可能性は高くないと考えています。統計局で働く職員やその家族の立場になって考えてみるに、果たして局内の合意の形成はそう簡単なことでしょうか。統計に関するコンピュータや資料等を物理的に和歌山市へ移転するだけなら可能でしょう。しかし組織は結局のところ人でできており、職員や家族の人生とともにあるのです。従って、今回の取り組みをきっかけに近畿地方の中枢的なオンサイト利用施設を和歌山大学に設置し、大学等がそれを活用して地域課題解決力を飛躍的に高めていく、といった方向性が現実的なのではないでしょうか。

7日(木)
・いくつかの国・自治体の審議会や協議会、地域公共交通会議で会長を務めています。重要な議事では、まず事務局説明の要点を簡潔に整理した上で、なるべく多くの参加者に発言して頂くよう留意しつつ、切りの良いところで明確なまとめをするようにしています。どちらかというと、会長が積極的に発言して引っ張っていくような進め方ではなく、進行役、まとめ役としての役割に重きを置くような進め方をしています。たくさんの議題や報告事項のある会議では時間配分のメリハリをつけることも重要です。予定時間を超えてダラダラと続くような会議にはしていません。会議からの帰り道では「あのまとめ方で良かったか」を常に考えています。

6日(水)
・ゼミナールの4年生たちが「授業のない日は休む先生もいる」「大学の先生って夏休みはどんな仕事をしているのかな」と楽しそうに雑談をしていました。経済学部のような社会科学系の教員の仕事場は、講義室や研究室だけではありません。研究室には不在であっても、他大学等へ出向いて学会や研究会に参加していたり、自宅の書斎に籠もって論文を書いていたり、学外でフィールドワークをしていたり、学内でカリキュラムの検討などの管理運営業務をしていたり、国や自治体などの会議に委員として参加していたりします。近頃は専門分野に関係するボランティア活動なども教員の評価対象となるのです。研究室の電気が消えているから休んでいる、とは言えず、むしろ、電気の消えている教員であればあるほど学内外で八面六臂の活躍をしているとも考えられるのです(経済学部教員の業績についてはこちらを見てください)。ただ、他大学の非常勤講師や講演会講師、自治体などの委員といったいわゆる「アルバイト」を理由として、和歌山大学での講義や重要な学務などの「本務」をたびたび休んでしまうような状況にまでなってしまう教員がいるとすればそれは大問題です。

5日(火)
・卒業論文提出を半年後に控えた学部生が近畿圏パーソントリップ調査に粘り強くかじりついて分析を進めています。同調査からは若年層のクルマ離れがはっきりと見えてくる(例えば土井・白水・南部(2012)「パーソントリップ調査から見た交通行動の変化と交通計画の課題 : 近畿圏PT調査を題材として」土木計画学研究・講演集45(CD-ROM))のですが、その要因は何でしょうか。東京都市圏を対象とした近年の研究には藤岡ほか(2012)「東京都市圏における若者の交通実態に関するマクロ分析」IATSS review 37(2)、pp.115-122がありますが、近畿圏の若者の交通行動を対象とした研究は少ないようです(要先行研究レビュー)。自動車交通量の減少は地球環境や交通安全面等ではプラスに働くのでしょうが、仮に若年層の貧困化がクルマ離れの主な要因であるとすれば、「クルマが減って環境に優しくなった」等と単純に喜んではいられなくなります。

4日(月)
・日本民営鉄道協会から広報誌「みんてつ」が届きました。今号は広島電鉄の特集号になっています。契約社員全員の正社員化にはとても感動いたしました。無期雇用の正社員になって「住宅ローンを組むために銀行へ駆け込んだ人もいた」そうで、どれだけの安心感が得られ、広島電鉄への帰属意識がどれだけ高まったことでしょう。

3日(日)
・梅雨が中休み状態と成り、真夏の日差しが照りつけています。本日は完全に休みました。

2日(土)
・本日は副学部長としての秘密の仕事をしなければなりません。研究者としては「雑用」になるため、本日中にケリをつけ、翌週の予定に支障の出ないようにしたいと思います。

1日(金)
・ほぼ徹夜で『大学的和歌山ガイド』の担当章を書き上げて出版社へ送りました。執筆の仕事の最終局面ではこのように完全に集中する時間を作ることが非常に大事だと思っています。夕方に別件で某町との打ち合わせがありましたが、徹夜明けのため、かなり散漫なコメントになっていたかも知れず申し訳なかったです。