研究日記(H28.8)

31日(水)
全国乗合バス事業者の移動円滑化基準適合車両導入状況(H26年度末現在)。この資料は毎年度公表されているようです。地域の交通計画の目標設定に使えます。たとえばこの資料から和歌山市に乗り入れている乗合バス事業者(和歌山バス、和歌山バス那賀、大十バス、有田鉄道)の総車両数は179、基準適合車両数(国の移動円滑化基準を満たす車両数)は69、うちノンステップバスの車両数は56、対象車両数(乗合バス総車両数から移動円滑化基準適用除外認定を受けた車両を除いた数)は118となり、対象車両数に占めるノンステップバスの車両数の割合は56/118*100で47.5%となります。全国値が47.0%ですので、和歌山市関係の乗合バス車両のノンステップ化率は全国並みということになります。国の「交通政策基本計画」の数値指標として、平成32年までにノンステップ化率を70%にするという目標が掲げられていますので、それに向けて努力をする必要がありますが、平成26年度に47.5%であるものを平成32年に70%にまで向上するのは容易なことではないでしょう。

30日(火)
・来年10月に和歌山大学経済学部で開催予定の某学会全国大会ですが、同時期に観光学部の2つの入試(経済学部棟で実施、日程未定)や教員免許更新講習(基礎教育棟で実施、日程未定)も予定されているので、学会の開催日程を確定できずにいます。10月7、8の土日を仮押さえし、学内の関係者には協力をお願いしてありますが、やはり大学としての優先順位は入試、講習、学会の順番になりますので、関係者のご配慮を祈るしかない状況です。

29日(月)
・平成27年度の教員活動状況評価の結果通知書が届きました。上から順にS、A、B、C、Dの5段階のうち、Sを頂きました。多くの先生方がSかAのはずなので、少し人より頑張っている程度と考えるのが良いと思います。
・台風10号の影響で朝から大雨になりました。大雨洪水警報が出ました。写真は雨が一番ひどかったときに研究室から撮影したもので、和歌山市街地(写真で灰色一色になっているあたり)の雨量はおそらく50mm/時間を優に超えていたのではないでしょうか。
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28日(日)
・完全に休みました。

27日(土)
・午後は完全に休みました。「何々についてデータをもって説明に上がるので後日分析と結果のプレゼンをお願いしたいのですが。予算がないので無料でなんとかお願いできませんか」という依頼を頂きました。国立大学には地域貢献が求められているとは言え、果たしてこのような依頼は受けるべきなのでしょうか?大学はボランティア機関ではありません。当然対価は必要だと思うので、26日の日記にも書いたような制度があることを説明し、検討して頂くことにしました。

26日(金)
・和歌山大学には、学術指導、共同研究、受託研究、寄附金の制度があります。例えば、「コミュニティバスを見直したいので助言が欲しい」といった場合や、「交通計画策定のためのアンケート調査を行いたい」といったような場合などに使える制度です。関心がおありの場合は辻本までご一報をお願いいたします。

25日(木)
・「逆都市化と公共交通の維持運営委員会」では、駅勢圏ごとに簡便で操作性の高いコーホート変化率法による人口推計を行い、「何もしない場合」の10年後、20年後の人口総数や若年者、生産年齢、高齢者の人口数を把握した上で、「そうなるのを食い止めるために」あるいは「そうなるのを10年遅らせるために」いつ何人の若年者を増やせばいいのか、そのために沿線自治体と連携してどんな施策を打っていけば良いか、等を考えるという方向もあり得ると思います。「とにかく何でもやる」「どの駅でもやる」ではなく、「いつまでにこの駅周辺で何人増やしたいから、そのために誰それと連携してこれをする」「この駅周辺では10年後に特に高齢化が進むから何々」という戦略的な思考が必要ではないかと。この点あすの委員会で提案してみようと思います。
・きょうは長峰山脈あたりに積乱雲が次から次に発生しては消えていき、はかないものだなと思いながら研究しています。かなとこ雲の段階にまで発達した積乱雲の写真と、その時間の雨雲ズームレーダーを載せておきます。立派だったこのかなとこ雲の頂上も15分後には崩壊していました。kanatokokanatoko2









24日(水)
・今週の金曜日から、 関西鉄道協会都市交通研究所の「逆都市化と公共交通の維持運営委員会」(主査:兵庫県立大学兒山真也教授)が始まります。逆都市化とは、都市の発展と衰退循環モデルにおける都市圏全体の人口減少期のことです。つまり都市圏全体で低密度化、高齢化、人口減少が起きるような段階のことですが、関西広域連合では全域の人口が減少段階に入っており、府県別でも滋賀県を除いて軒並み人口が減り始め、特に和歌山県、奈良県、徳島県、鳥取県といった大都市郊外から過疎地域に該当しかつ国土軸から外れた諸県の減少幅が大きい状況です。今後は大阪市のような大都市中心部でも人口が減り始め、関西圏がいよいよ逆都市化時代に突入して、公共交通の経営にも多大な影響が発生する可能性が強くなっています。そのような中で「逆都市化と公共交通の維持運営委員会」では2年間に10-15回程度の研究委員会が開催され、逆都市化を前提とした供給面の効率化(運行・管理の合理化、経営形態の見直し、ネットワークの見直し等)や、需要喚起策(利用頻度の向上、単価の引き上げ、沿線以外からの利用者の獲得、駅周辺の居住密度増等)の検討が行われる予定です。同委員会での私の担当はまだ決まっていませんが、おそらく、国土交通省「地域鉄道のあり方に関する検討会」に関連する研究動向の報告などを担当することになるのでしょう。

23日(火)
・今週は連日会議が入っています。学部運営関係の会議のほか、他大学の先生や鉄道業界との研究会、国や県、市の審議会等があります。各会議の内容は学生の懲戒処分に関することから市の総合戦略に関することまでと様々ですし、規模も数名の会議から数十名の会議まであり、会長をする会議もあれば一委員の会議もあって、まさに多種多様です。その合間に研究を進め、院生・学部生の指導にもあたっていますが、頭の切り替えが結構大変です。いくつもの顔を使い分けねばならないのは大学教授の宿命だと思います。
・観世流のお稽古で、謡曲の「俊寛」を無事完了し、次は「隅田川」に進みます。これまた九番習の難しい曲です。仕舞は引き続き「東北(クセ)」です。

22日(月)
・定期テストの採点をしたのち、和歌山県の会議に出ます。

21日(日)
・本学夏季一斉休業の最終日です。完全に休みます。

20日(土)
・紀ノ川駅前にアウトバーンという喫茶店があり、そこのドイツカレーが絶品なので月に1度くらいのペースで通っています。写真のように豪華なサラダと生卵、らっきょや福神漬けがついて税込み700円です。コーヒーをセットにしても1000円未満です。駅前にあるので大阪や和歌山市中心部などでの重要な会議の前か後に立ち寄ることが多いです。
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19日(金)
・午後から和歌山市長期総合計画審議会(委員数34名)に出席しました。この会は和歌山市のまちづくりの最上位計画である基本構想・長期総合計画を審議する会です。今回は基本構想の最終案の審議と、長期総合計画策定に向けたスケジュール案や部会設置案の報告が行われました。基本構想の最終確認を主目的とした会だったため、あまり議論もなく、45分ほどの短時間で閉会となりました。閉会後に本学教育学部名誉教授の藤本清二郎先生が「よう」と一声かけて下さいました。本学では数少ない広島大学出身者同士と言うことで親近感があります。

18日(木)
・懐かしい実家へ帰省いたしました。赤ちゃん〜幼稚園時代に暮らしていたアパートを見に行くと、取り壊されて更地になってしまっていました。周囲には40年前は田んぼや畑が広がっていたのですが、20年ほど前から区画整理事業が進み、現在は旧市街地に隣接する新市街地「希央台」となっています。
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17日(水)
・夏季一斉休業のため学内にほとんど人影がなく、蝉の声だけが響いているような状況です。クマゼミの時期は過ぎ、アブラゼミとミンミンゼミとツクツクボウシが中心のようです。和歌山大学は府県境の緑豊かな丘の上にあるのですが、残念ながら趣のあるヒグラシの声を楽しむことはできません。府県境を越えた大阪府岬町上孝子のあたりにはいるのでしょうか。

16日(火)
・和歌山大学は19日まで表向きは夏季一斉休業となっています。本日は国宝であり世界遺産でもある姫路城の大手門付近の道路状況と、和歌山城の大手門付近の状況を写真で比較してみました。両城とも日本百名城のひとつであり、三大連立式平山城(姫路、松山、和歌山)のひとつでもありますが、姫路城大手門付近の広々とした歩行空間や高さを抑えた建物群に対して、和歌山城大手門付近の状況は明らかに見劣りします。両市とも城を中心としたまちづくりを進めていますが、格差は拡がる一方のように感じました。
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15日(月)
・終戦の日です。正式な名称は「戦没者を追悼し平和を祈念する日」です。今日の平和は国のために散っていった英霊のご活躍あってのことです。

14日(日)
・引き続き完全に休みます。

13日(土)
・完全に休みます。

12日(金)
・和歌山大学は15日から19日まで夏季一斉休業となります。経済学部の先生方の大半はきょう12日も休まれているのではないでしょうか。私は朝10時より国土交通省・厚生労働省との打ち合わせがあり、午後からは研究助成金の申請書作成や定期テストの採点作業があるので出勤しています。

11日(木)
・地域コミュニティの活性化事例について調べる中で、豊中市のよくできた資料を見つけました。図が効果的に使われており初学者にも理解しやすい内容となっています。また、全国の812都市の事例を網羅的に調査したものとして、日本都市センター(2014)「地域コミュニティと行政の新しい関係づくり」があります。

10日(水)
・岸田外相が中国大使との面会にわざと8分遅刻されたとか。遅刻は外交上の非礼にあたり、それを重々分かった上でのことだったそうです。このような抗議の意思表示もあるのだなと勉強になりました。私たちの日常においても、遅刻、終了時間の見えない会議運営など、ルーズな時間管理は大変な失礼にあたります。数分の遅刻や延長であっても、それに参加人数をかけ、金額をかければいくらになるか。時間価値という経済学用語を学んだ者であれば、相手の時間を奪うことの罪深さが分かるはずです。

9日(火)
・本日は15時に始まった学部企画委員会が18時半まで続きました。教授になると、この種の「管理・運営業務」が格段に増え、その分研究のための時間が減ってしまいます。しかし会議で先生方と議論していると、学部・研究科のこれからのために少しは貢献しているような気分にもなりますし、小難しい議論が頭の特訓にもなるのです。管理・運営業務も大事にしていきたいと思います。
・備忘録 全国の市区町村数は1741、近畿地方の市町村数は198

8日(月)
・本日は国と自治体から来訪2件、交通システム論の定期試験、学生の来訪1件をこなし、研究助成金の申請書作成をしました。

7日(日)
・本日は小林観諷会恒例の第98回(!!)「和歌山大阪合同歌仙会」にて、「高砂」のシテを務めます。小林観諷会というのは観世流小林慶三師のお弟子さんの会です。高砂のシテは住吉の神様なので、「朝日が東海の涯から勇ましく天に向かって昇って行くが如き明るさと大きさと花やかさ」(観世左近「観世流大成版一ノ一 高砂」)で強く明るく品位を保って謡います。

6日(土)
・広島の原爆忌です。和歌山市では「おどるんや」が開催されますが、広島で学んだ者として、個人的にはこの日はなるべく静かにしていたいです。広島では8月6日の朝8時15分になると街中が静まりかえります。路面電車もすべて停車し、乗客・乗員全員が1分間の黙祷を捧げます。読者の皆さんもせめて朝8時15分(9日は午前11時2分)には10秒でも良いから目を閉じてください。

5日(金)
・昨年度は200〜300万円クラスの受託研究を3本も受けてしまい、外部資金の受入実績では学部のトップ3に入りましたが、精神的・肉体的に相当無理をしました。1本こなすのも大変なものが3本あったのです。その反動で今年度はあえて研究のペースを落としています。しかしそろそろ昨年度のダメージからも回復してきたので、これから9月にかけて産学連携・研究支援センターの「各種公募情報」助成財団センターの「助成金情報」を見ながらいくつかの研究助成の申請書を書くことにします。例えば国土技術研究センター研究開発助成(重点募集課題として道路空間の有効活用並びに道路ネットワークの最適化に向けた政策立案に寄与する研究、人口減少社会における持続可能な都市・地域の構築に関する研究)、大阪ガスグループ福祉財団の高齢者の福祉および健康づくりに関する調査・研究助成などの応募を考えてみます。

4日(木)
・本日は経済学研究科の「専攻共通セミナー」に出席し、他ゼミの修士課程1年生5名の発表にコメントをしなければなりません。1人あたり発表10分、あらかじめ決められた質問役の院生との質疑応答5分、他の院生や教員6名(芦田、阿部、岡部、厨子、吉田、辻本)との質疑応答5分だそうです。発表を聞いたその場で的確にコメントするような器用さはありませんので、前もって配付資料をざっと読みコメントを考えてから参加します。

3日(水)
旅の文化研究所 公募研究プロジェクトは、「移動・旅・観光に関連する諸問題」をテーマとした研究が対象で、申請者が大学院生か大学院研究生に限定されています。辻本ゼミナールの院生の皆さん、いかがでしょうか。

2日(火)
・定期試験が始まりました。本日はこまごまとした雑用をこなしていたら17時が来てしまいました。

1日(月)
・和歌山市と和歌山大学の連携推進事業に「交通まちづくりセンター事業」の名称で応募しました。和歌山市の交通とまちづくりに関する最新の統計データを収集し、GISなどで逐次「見える化」して交通政策に活用したり、市民向けの交通環境教育等を展開したりするほか、シンポジウムの定期開催、地域公共交通網形成計画の策定支援や目標達成度の把握と改善策提案、などなどを盛り込んでいます。このセンター構想において重要な役割を担うのは交通政策・交通計画を専門とする本ゼミナールの大学院生や学部生です。実現の暁には、交通とまちづくりの実践教育・実践研究の場として大いに活用していきたいと考えています。実現可能性は高くありませんが、夢は大きいほどよいですね!
・本日午前の大学院ゼミナールにて、今年度前期の講義もすべて完了です。院ゼミでは引き続き藤山(2015)『田園回帰1%戦略』を輪読します。本日は第4章で、人口の1%を取り戻し定住を可能にするためには地域外に流出している所得を1%取り戻せばよいこと、そのために市町村産業連関表の作成と活用が大事であること、イギリスの地域内乗数効果の考え方などが具体的かつ分かりやすく説明されています。