研究日記(H28.10)

31日(月)
・本日の学部講義「交通政策」のトピックスでは、JR九州の株式上場を取り上げます。トピックスの所要時間はわずか10-15分程度なのですが、その準備には調べ物が多くなるため毎回数時間を費やしてしまいます。
30日(日)
・休みました。
29日(土)
・科研費の申請書の最終仕上げを行いました。二晩寝かせて月曜日に最終チェックをし提出します。
28日(金)
・名古屋市で開催されたデマンド交通の報告会を聴講してきました。東京大学系のシステムを中心とした報告会でした。フルデマンドよりもセミデマンドのほうが効率的という具体例があり参考になりました。
27日(木)
・本日は大学院の講義「交通政策論特殊問題」などを担当したのち、修士論文の中間報告会に出席しました。報告を受けたその場でコメントできるほど器用ではありませんので、あらかじめ質問を考えてから臨みました。
26日(水)
・本日は橋本市の地域公共交通網形成計画策定の会議に出席しました。県下第一号となる計画で、近畿運輸局も全面的にバックアップをしてくださるそうです。
25日(火)
・観世流謡曲「隅田川」の稽古が佳境にさしかかってきました。子を慕って旅をしてきた女が、渡し守から「人買に連れられて来た子が1年前に病死して、不憫に思った人々が回向 している」という話を聞き、それはまさしく自分の子・梅若丸だと分かり絶望し狂乱して泣き伏す場面。小林慶三師に、間の取り方が非常に重要であると教わりました。間の取り方を次第に小さくしながら、梅若丸の映像を次第次第に浮かび上がらせていくような謡い方をします。これはとてつもない難曲です。
・本日の大学院ゼミナールでは藤山(2015)『田園回帰1%戦略』の5章と6章の前半を読みます。「居住形態が分散的であれば、拠点は集約化されかつネットワークは複合化されなければ、持続可能な社会システムは成立しない」(p.176)。全国で移動販売・送迎等、小売業者や病医院等の側から顧客の元へと出向く「デリバリー型サービス」が普及しつつありますが、これは「分散的な居住形態にあって、各分野の拠点までも分散し、お互いをつなぐネットワークも縦割りで細分化」(p.176)する状況が進展していることにほかなりません。地域住民にとっての利便性(いろんなサービスが集落まで出向いて来てくれる)と、社会としての持続可能性(輸送効率、運転手不足、地域公共交通との競合等々)とのせめぎ合いが起こっているのではないでしょうか。両者のうまいバランスの取り方を考えていく必要がありそうです。
・本日より日本シリーズの決着がつくまでの間、できる限りワイシャツの下に広島カープのユニホームを着込んで仕事をします。そうです。私には広島の紅い魂が宿っています。

24日(月)
・あすはゼミナールの選考を行います。定員9名のところ今回は応募者が11名(うちエキスパートコース1名)で、多すぎず少なすぎずおおむねよい応募状況だと感じます。
・本日の学部講義「交通政策」のトピックスでは、本日付読売新聞の社説を資料として、改正物流効率化法の施行について説明します。資料に出てくる「世界銀行の物流効率性調査」とは、Trade Logistics in the Global Economy 2016のことです。この調査は2年ごとに行われており、過年度版はこちらにあります。2016年度調査での物流効率化トップ20はドイツ、ルクセンブルク、スウェーデン、オランダ、シンガポール、ベルギー、オーストリア、英国、香港、米国、スイス、日本、UAE、カナダ、フィンランド、フランス、デンマーク、アイルランド、オーストラリア、南アフリカの順で、韓国は24位、台湾が25位、中国が26位です。1位のドイツで導入されている、GPSで高速道路の走行距離を計算して課金するシステムはこちらに解説があります。過疎地の物流システムについてはこちら。コミュニティバスなどに農産物などの荷物を載せる貨客混載システムは、過疎地の輸送網とバス網の維持につながるほか、高齢ドライバーの運転距離を減らすことで交通安全にもつながり、興味深いです。

23日(日)
・休みました。千手川の河原で赤、ピンク、白のコスモスの種を採取しました。どこに撒くか?それは和歌山大学経済学部横の広大な斜面にです。来年が楽しみです。ちなみにキャンパス内に群生しているタカサゴユリの多くも10数年前に私が種を撒いたものです。

22日(土)
・庭のキンモクセイが満開になりました。

21日(金)
・某市で指定管理者選定委員会があり、その前の施設見学で本物の銀幕を見せて頂きました。銀皮を貼って反射率を高めているそうです。守秘義務があるので選定過程などについては書けません。今週は学内外での会議が続きます。

20日(木)
・和歌山都市圏総合交通計画研究会が開催されます。
・本日の大学院講義「交通政策論特殊問題」では、『運輸と経済』第76巻第3号の「交通事業者から見た関西の未来」と「関西の明日を拓く都市交通」を題材に議論をします。

19日(水)
・三重県伊賀市にて地域公共交通活性化再生協議会が開催されました。主な議題は伊賀線鉄道事業再構築実施計画案と、バス路線の見直し手順の修正についてでした。この協議会の会長は愛知工業大学客員教授の伊豆原浩二先生です。私も様々な会議に出席していますが、議事進行方法は会長によって大きく異なります。伊豆原先生の進行方法は、事務局説明や委員発言を丁寧にかみ砕いて説明しながら会議を引っ張っていくといったスタイルで、毎回参考にさせて頂いています。

18日(火)
・和歌山市長期総合計画審議会の「誰もが安心して住み続けられる持続可能なまち」部会(部会長:本山貢・本学教育学部教授)が開催されました。この部会が扱う分野はコンパクトシティと公共交通網、道路網、住環境、防災、消防、防犯、健康、人権、男女共同参画、福祉、地域コミュニティにわたっており、今回は現状・課題と施策体系の素案が事務局から示されたのち、審議が行われました。私は公共交通、住環境、子育て支援、男女共同参画の4分野について簡潔に意見を述べました。

17日(月)
・本日の学部講義「交通政策」では、トピックスとして「ウーバーを呼べないシェアエコノミー会議」(日本経済新聞電子版 H28.10.14付)を取り上げます。世界でシェアリングエコノミーという、「典型的には個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しを仲介するサービス」(総務省『情報通信白書』H27年版)が急速に成長しています。その市場規模は2013年の150億ドルから2025年には3350億ドルになるとの予測もあります(出典は総務省『情報通信白書』H27年版)。シェアリングエコノミーの主要分野に運輸があり、その代表例がウーバーという、米国が発祥のものです。日本ではまだほとんど導入が進んでいないものですが、要は一般市民が、ウーバー社の仲介のもとで、空いている時間等に運転手となり、マイカーを使って乗客を輸送し、稼げるという仕組みです。利用者にとってはタクシーより安く、スマホで運転手の評判や車種、見積もり運賃などを見ながら自国の言語で予約でき、支払いも明快なクレジット払いといった利点があります(実際の利用例はこちら)。ドライバーの採用にあたってはウーバーにより運転履歴の審査がなされ、乗客がドライバーを5段階で評価する仕組みもあって、質の低いドライバーは排除されるようになっています。このシステムの将来性を見込んだトヨタ自動車も今年の5月にウーバーと提携をしています。地域の活性化に使えないか、観光振興に活かせないかの意見もあり、京都府京丹後市、北海道中頓別町では厳しい制約付きながらウーバーの導入が行われています。一方でタクシー業界からは猛反発の声が上がっており、全国タクシー・ハイヤー連合会長は「(ウーバーなどの)白タク解禁や合法化の動きにはいかなる妥協も条件付き容認もない」(H28.5.26産経)としており、所轄する国土交通大臣も「自動車の旅客運送は安心・安全の確保が最重要課題であり、ライドシェアについては極めて慎重な検討が必要」(H28.10.14日本経済新聞電子版)としています。他国でもウーバーに抗議するデモが発生するなどしています。日本では今後、どのような形での導入が進んでいくのでしょうか。オリックス・シニア・チェアマンの宮内義彦氏は、「行政というのは既存業界のためにあるのではなく、商品やサービスを使う利用者や消費者のためにあるということを忘れてはいけません」として、ライドシェアとタクシーとの競争が進めば今までに無かったサービスが生まれ、運賃もより合理的になるのではとしています(出典:宮内義彦「「ウーバー」、日本社会への問いかけ−」日経電子版H28.9.16)。ウーバーという黒船の到来で日本の関連業界は今、明治維新前夜のような状況にあるのかも知れません。

16日(日)
・休みました。

15日(土)
・11月には土木計画学研究発表会があります。今年は長崎大学が会場となっています。この学会には交通計画系の研究者が多数集結します。春と秋に開催されており、修士課程の学生も多数発表します。辻本ゼミの院生にも頑張って頂きたいです。

14日(金)
・大学院観光学研究科博士課程1年生に対する「チーム指導」を行いました。1年次後期には、2人の副指導教員より、それぞれの専門分野からのアドバイスと課題を頂き、12月末までに1万字のレポートを2本提出することになっているのです。

13日(木)
・本日は大学院の講義「交通政策論特殊問題」があります。今年度は受講生が14名という大人数となっています。本日は『運輸と経済』の第75巻第10号(特集:都市の構造的変化と交通)から2つの論文を取り上げて講義を進めます。毎回2名が報告者、別の2名がコメンテーターとなって、(報告25分+議論20分)×2=90分の時間配分で進めて行きます。ちなみに本学大学院経済学研究科の講義名は原則すべて○○特殊問題とすることになっています。大学院ですので、重箱の隅を突っつくようなイメージなのでしょうか。

12日(水)
・日本建築学会のサイトに、研究助成等一覧があります。ゼミナールの研究内容をカバーする助成も多数掲載されています。科学研究費補助金の申請書を書き終えたら、次はこれらの研究助成を取りに行きます。

11日(火)
・本日はオープンゼミ(ゼミの見学会)を行いました。辻本ゼミへの応募を考えている2年生13名が聴講する中、ゼミの3年生と4年生が素晴らしい研究報告をしてくれました。毎年応募者が定員を超える当ゼミですが、その理由にはゼミの専門分野が比較的親しみやすいものであること、就職活動や留学等との両立がしやすいこと、公務・運輸等への就職実績が多数あること、学生の自主性重視のもとで毎年何らかの学外プロジェクトを行っていること、ゼミの雰囲気が良いことなどがあるようです。4年生からは「先生がたまにボケるんや」との意見もありました。天然のボケがゼミの場を和ませているのでしょうか。

10日(月)
・体育の日で、よいお天気となりました。

9日(日)
・日本交通学会研究報告会に参加ののち、帰宅しました。鉄道セッションの関西大学秋山先生・井ノ口先生「都市活動に着目した鉄道需要変化に関する要因分析」を特に興味深く拝聴させて頂きました。

8日(土)
・一橋大学で開催された日本交通学会2016年度研究報告会に参加しました。75回記念シンポジウム「社会経済の構造変化と交通政策の展望」は非常に刺激的な内容でした。会員総会では、来年10月に行われる研究報告会の主催校が和歌山大学であること、大会委員長が辻本であることが了承されました。ついに和歌山大学史上初の日本交通学会研究報告会開催が本決まりとなってしまいました!!せっかくの機会ですので院生(特にドクターコース)は積極的に研究報告をし、査読誌『交通学研究』への掲載を目指していただきたいです。

7日(金)
・科研費の申請書作成作業も最終段階に入ってきました。

6日(木)
・本日は1時間目が大学院の講義「交通政策論特殊問題」、2時間目が学部エキスパートコースの「ユニット演習供廚任后1時間目から講義がある日は朝の6時から9時までが準備のため戦争状態になります。

5日(水)
・和歌山、奈良、三重の3県境には魅力的な観光資源が点在しています。しかし、大学院生の現地調査報告によると、バス網は県境で分断されがちであり、路線バスが撤退した後のコミュニティバスは福祉目的化しており、観光資源を公共交通で周遊することが極めて難しい状況とのことです。わが国の奥深くまで訪れるインバウンドの個人旅行客が増えているという中で、和歌山、奈良、三重の3県境に何らかの周遊ルートを整備する必要や意義があるのか、ないのか。これまで通りマイカー頼みで良いか。なかなか興味深い研究テーマだと思います。

4日(火)
・本日より後期のゼミナールが始まります。1月の卒論・修論の提出日まであっという間ですよ。

3日(月)
・JR北海道が、1日平均乗車人員が1人以下の51駅を廃止の方向とのこと(「乗車1日平均1人以下、JR北が51駅廃止へ」2016/10/1読売新聞)。鉄道事業の全部または一部を廃止する場合は、「廃止の日の一年前までに、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない」(鉄道事業法第28条の2)となっていますが、駅の廃止の場合はどうなのでしょうか。 同第7条に「鉄道事業の許可を受けた者(以下「鉄道事業者」という。)は、事業基本計画又は第四条第一項第八号若しくは第十号に掲げる事項を変更しようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。ただし、国土交通省令で定める軽微な変更については、この限りでない。 ・・・(中略)・・・鉄道事業者は、第一項ただし書の国土交通省令で定める軽微な変更をし、又は第四条第一項第九号に掲げる事項の変更をしたときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。 」とあり、鉄道事業法施行規則第8条には「法第七条第一項 ただし書の国土交通省令で定める軽微な変更は、次に掲げる事項に係る変更とする。・・・(中略)・・・駅の位置(一時的な需要のため期間を限定して設ける駅(次号において「臨時駅」という。)に係るもの及び取扱量が微小(一日当たりの年間平均取扱量が、旅客にあつては百人未満であり、貨物にあつては百トン未満であることをいう。次号において同じ。)である駅の廃止に係るものに限る。)」とあるので、利用客数が1日あたり100人未満の駅の廃止は国の認可無しででき、遅滞なく届け出るだけでよいようです。

2日(日)
・休みます。

1日(土)
・「新幹線、四国や山陰に開業の日は来るか」(ビジネス+IT 9月27日(火)6時40分配信)。北海道から金沢、鹿児島までが新幹線でつながり、リニア中央新幹線等の整備も進む中、和歌山県が新幹線ネットワークから取り残されていてよいのでしょうか。「訪日観光客の利便性確保などに向けた喫緊の課題」とされる関西空港のアクセス改善の動きと、四国(特に徳島県)の新幹線整備の動きをうまく取り持つ形で、新大阪−関西空港(ないしりんくうタウン)−和歌山市−紀淡海峡−徳島の実現を目指したいものです。この点では県の仁坂知事も同じ意見のようです。