研究日記(H29.1)

31日(火)
・本日で今年度のゼミナールも完了です。お疲れ様でした。博士課程に進学したいという人が出てきたのは嬉しい限りです。複数本の査読論文の執筆、博士号取得、アカデミックポストへの就職、と針むしろの道が続きますが、研究を続けたいという意思が明確にあるのならば厳しい指導で応援いたします。

30日(月)
・卒業論文の提出締切まであと1日となりました。

29日(日)
国土計画や地方振興関連の計画・基本方針の一覧。昭和37年閣議決定の全国総合開発計画から平成27年8月閣議決定の国土形成計画(全国計画)に至るまですべてpdfで閲覧できます。各国の国土政策の概要というページもあってなかなか便利です。

28日(土)
・4月からの新学部長、新評議員の候補が決まり始めました。新副学部長、新3委員長(教務、入試、学生)その他の役職も順次決まっていくでしょう。研究者の立場から見ると、こういった役職の仕事(管理運営業務)はいわゆる雑用にあたります。私も入試委員長(兼副学部長)を2期4年、学生委員長(兼副学部長)を1期2年、計6年も担当してきましたのでそろそろ心静かに研究をさせて頂きたいというのが本音です。他になり手がない、というなら仕方ないですし、なればなったでまた2年間きちんと学部のために働きますけれども。
・そろそろ定期テストの問題を作成しなければなりません。LINE上などに過去問が大々的に出回っているそうなので、各教員とも対応策が必要だと思います。

27日(金)
・本日は午前中に橋本市の生活交通ネットワーク協議会、午後から岬町の地域公共交通会議に出席します。前者では和歌山バス那賀の橋本線の一部廃止が議題に上がっています。同線は紀ノ川沿いの市町を結ぶ広域的路線ですが、JR和歌山線とほぼ並走しているほか、京奈和自動車道の開通などによりマイカーとの競合が厳しさを増していました。また、橋本市内の輸送においても、南海りんかんバスとの棲み分けが求められるほか、高齢化等の中で多様化するニーズに対応した各種の代替交通手段等の進出にも直面していました。このような中で橋本市における役割の維持に苦慮された結果の廃止であろうかと思います。橋本市生活交通ネットワーク協議会では持続可能な地域交通体系を追求しており、その中で各交通モード、交通事業者の役割分担のあり方や、行政、事業者の責務、住民の役割について議論しながら、現在「橋本市地域公共交通網形成計画」を策定しているところです。和歌山バス那賀橋本線の一部廃止は非常に残念ですが、今回の廃止を「公共交通は利用しないと残らない」、「公共交通は、守りたい,守らねばという気持ちに具体的施策がついていかねば残らない」という実例ととらえて、今後の地域交通政策に活かす必要があります。

26日(木)
・本日の大学院講義「交通政策論特殊問題」では、『運輸と経済』76(7)の寺田「英国(イングランド)の地域交通計画の運用にみる地方分権の難しさ」と板谷「計画プロセスとしてのフランスPDUの特徴」を採り上げます。板谷論文に「わが国の計画制度は、上記のフランスの状況と比べると、各交通手段の連携および都市計画との連携が不十分で、財源が国頼みの部分があり計画策定義務もなく、住民への周知などについても各々の都市圏の努力に依る部分が大きいうえ、議会での理解が不十分というのが実態であろう」(p.109)とあります。まさにその通りです。和歌山市では策定中の長期総合計画を踏まえ、地域公共交通網形成計画と立地適正化計画がセットで策定・実施されようとしており、ようやく「各交通手段の連携および都市計画との連携」や「計画策定」については具体的な前進が見られるようになりました。「住民への周知」については地域公共交通網形成計画の中にしっかりと位置づける必要があります。「財源が国頼みの部分があり」と「議会の理解」はセットで考えることができるでしょう。

25日(水)
・和歌山市の長期総合計画審議会と、みなべ町の長期総合計画審議会があります。同じ日に複数の自治体の長期総合計画審議会に出席するのは初めてです。

24日(火)
・今朝は和歌山市でも積雪深が3cmを超えてきています。大学院ゼミナールでは引き続き土木学会『市民生活行動学』の第17章「市民生活行動学という学問の未来」を読みました。これでこの分厚い本を読破したことになります。「元々つながっている市民生活行動を強引に”切り裂く”のではなく、行動同士がつながっている状態で行動分析をどう行うかという一連の方法論の提供を目指す」という壮大な学問であり、部門横断型政策立案のために有効だと思われますが、あまりに複雑でもあり、「考え方や必要性は十分理解できるが、実現までの道のりはあまりに険しい」との感想が受講生から聞こえて来ました。生活行動に関する回答負担感の少ないアンケート調査手法の開発と、ビッグデータの活用により、これから一気にこの学問の道が開けてくるのでしょうか。

23日(月)
・九州のバス会社である宮崎交通が、路線バス車両に専用保冷庫を設置してヤマト運輸のクール宅急便を運び始めたそうです(日経の記事はこちら)。客貨混載の取り組みは各地にありますが、保冷庫の設置は全国初だとか。
・4月の観世流の発表会で、仕舞「隅田川」を舞うことになりました。謡曲のほうはまだ決まっていません。

22日(日)
・休みます。が、自宅で23日、24日、26日の講義の準備をある程度は進めておくことにします。23日の週は講義のほかに自治体の審議会・協議会等だけでも4つあり、その上木曜午後は教授会、さらに修士論文の審査も何本かあってとにかく忙しいのです。『KANSAI空港レビュー』の原稿も書かなければなりません。この日曜日に講義の準備をある程度終えておくとかなり楽になるのです。

21日(土)
・今月末が締め切りの『KANSAI空港レビュー』の原稿を書き始めました。

20日(金)
・某市にて、新たに受託することになった研究の打ち合わせを行いました。

19日(木)
・先日、恩師の戸田常一先生から、大きな段ボール箱に数箱分もの交通政策・交通計画関係の図書を頂戴いたしました。他の門下生のもとにも各専門分野の図書がそれぞれ届いたようです。辻本研究室の書棚の一画に特別展示コーナーを設けています。

18日(水)
・某自治体から重要な役職の引き継ぎの打診がありました。

17日(火)
・大学院ゼミナールでは引き続き土木学会『市民生活行動学』の第15章「モビリティ・マネジメントと市民生活行動変容」、第16章「市民生活行動調査の提案と実証分析」を読みます。この本にもよく出てくる離散選択モデル、ランダム効用化理論、非集計ロジットモデル等々についてはこの資料の解説がわかりやすくてお勧めです。
・関西空港調査会が調査研究助成を公募しています。大学院生など学生は対象外となっています。

16日(月)
・本日の学部講義「交通政策」では、投資理論を扱います。これと関連して、内閣府「社会資本整備等の現状」の10ページに、社会資本整備のフロー効果として乗数が掲載・解説されています。公共投資乗数、短期的には概ね1を超えること(公共投資を上回るGDPの伸びを見込めること)、公共投資の乗数効果は減税のそれより短期的には大きいことなどが説明されています。
・和歌山県と徳島県、堺市がこの30日にシンポジウム「国土の強靭化と交通インフラ−新たな国土軸の創造、紀淡海峡ルート、四国新幹線を考える−」を堺市のサンクスエア堺サンスクエアホール開催します。3自治体の首長と関西エアポート社長、藤井京都大教授が登壇されます。アクセスの強化を願う関西空港と、新幹線のない政令指定都市である堺市を巻き込むことで、新大阪ー堺−関空(ないしその対岸)−和歌山−紀淡海峡−徳島−四国内の新幹線またはリニア実現の道が開けてきそうです。関西全域の視点からは、福井−京都−新大阪−関空−和歌山−徳島という南北方向の高速鉄道軸が新たに形成されることになります。

15日(日)
・センター試験の2日目がありました。教科は数学と理科でした。

14日(土)
・センター試験の1日目がありました。教科は社会、国語、外国語でした。

13日(金)
・橋本市生活交通ネットワーク協議会の分科会がありました。振り返ってみますとこの協議会の前身である橋本市地域公共交通活性化協議会は、おそらく平成22年2月26日に始まっています。それからもう7年間も会長をしているわけです。委員の任期はこの6月にいったん切れるのですが、同一人物が長らく会長にとどまるのもいかがなものかと思います。

12日(木)
・本日の大学院講義「交通政策論特殊問題」では、山形県のフラワー長井線沿線地域公共交通網形成計画と、岐阜市の公共交通網形成計画・再編実施計画を採り上げます。

11日(水)
・今朝の毎日新聞和歌山版の「国鉄民営化30年/8 駅中心、人とまち結ぶ /和歌山」にコメントが掲載されました。

10日(火)
・修士論文の提出日です。
・本日より年明けのゼミナールが始まります。大学院ゼミナールでは引き続き土木学会『市民生活行動学』の第13章「高齢者のモビリティと生活行動」、第14章「行動変容理論と生活行動」を読みます。後者については、LRT・BRTの導入といった新規政策に関する自治体の意識や行動の変容の理論としても応用できるのではないでしょうか。

9日(月)
・小林観諷会の第98回新年謡初会がアバローム紀の国であり、吉野天人のワキを担当しました。その他、神歌、竹生島、経正、菊慈童、三輪、猩々の地謡に参加しました。第98回、ということは小林慶三先生のお父上の代から98年続いていると言うことになります!。

8日(日)
・西川先生(第一著者)、照本先生との共著論文の手直しをしました。

7日(土)
・修士論文案を添削して返しました。

6日(金)
・外国人ドライバーが引き起こす事故が増えているため、警察庁が今年7月に一部交通標識への英語併記を開始するそうです。
・本日のNHKラジオニュースによると、厚生労働省の研究班の調査で、年齢とともに「動かない時間」が増えることや、「動かない時間」の増加と循環器病の関係等々の結果が得られたとのことです。調査の詳細はそのうち研究班のサイトに掲載されるであろうと思います。

5日(木)
・スポーツ庁が小中学生・小中学校を対象に「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」を平成21年度から実施しており、その調査項目のひとつに「ふだんの登校方法」があります。平成28年度調査の場合、全国の中学生のふだんの登校方法は、男子が徒歩68.9%、自転車が26.8%、スクールバスが2.5%、路線バス・電車・自家用車が11.0%、女子が徒歩70.4%、自転車が24.9%、スクールバスが2.6%、路線バス・電車・自家用車が14.8%となっています。都道府県別や、地域区分別(大都市、中核市、その他の都市、町村、へき地)での集計結果も掲載されています。一度ゆっくり分析してみたいです。

4日(水)
・仕事始めです。今年10月の日本交通学会研究発表会(和歌山大学で開催)のテーマをそろそろいくつか考えて編集委員会へ送らなければなりません。

3日(火)
・名張市立名張中学校の同窓会に初めて参加しました。競走馬の育成や消防士、タンクローリーの運行、市役所、県庁、教員、副園長、社協、民間企業、自営業などなどそれぞれに大いに活躍されているようでした。持参した卒業アルバムが意外に大活躍し、同窓生の間で引っ張りだことなっていました。おそらく参加者全員の指紋がついたであろうアルバムを大事に持ち帰りました。

2日(月)
・休みます。年末年始はこの日記の更新も滞ることが予想されるため、フライングですが1月4日の分まで12月30日中に書いてしまいました。

1日(日)
・今年も一年よろしくお願いします。服喪中のため新年の挨拶は控えさせて頂きます。