研究日記(H29.4)

30日(日)
・和歌山電鐵貴志川線と水間鉄道水間線沿線において、学部生・院生7名参加のもとで「交通まちづくり調査研究」の視察を行いました。初回の視察と言うことで、両線と沿線の魅力を五感で感じることを主目的に、学部生に視察ポイントをあらかじめ考えてもらった上で実施しました。水間観音駅〜水間寺、伊太祈曽駅〜伊太祁曽神社、貴志駅〜貴志川地区中心部・いちご狩り会場、そして今回は行きませんでしたが竈山駅〜竈山神社など、駅からの歩行環境に改善余地が大いにあることが改めて強く意識されました。駅から離れている上にまともな歩道がなく、常に「自動車が通るよ!」と叫んでいなければならない状態では、鉄道による観光振興効果も十分発揮できないのではないでしょうか。日本の歩行中・自転車乗車中の交通安全性は先進7カ国中の最下位です(人口10万人あたりの死者数が日2.1人、英0.9人、仏1.0人、加1.1人、独1.1人、伊1.4人、米1.8人。出典は国交省「生活道路をとりまく環境」)。駅周辺はじめ歩行環境・自転車通行環境の抜本整備が望まれます。写真は水間観音駅と水間寺を結ぶ参道の様子です。歩道はありません。
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ちなみに私が仕事のために1人で視察をする場合は、早朝から夕方にかけて対象区間の全駅に降り立ち、周囲を歩き回ってピンときたものすべてを記録します。それこそ足が棒になるまで。

29日(土)
・本日のgoogleのトップページは和歌山電鐵貴志川線のたま駅長の図柄になっています。
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28日(金)
・昭和46年に出された八十島義之助・花岡利幸『交通計画』(技報堂)に、社会が交通に要求するもの、という項があり、その中に「社会的必要と企業的生存とは必ずしも両立しない」(p.57)、「短期的な要求のみを満たすことは、長期的な好ましい方向を必ずしもとらないということになるのである」(p.58)と書かれています。45年後の今にも引き続き通用する重要な指摘であろうと思います。昭和41年の小川博三『交通計画』には、交通の機能として、1.地域に統一をあたえる、2.地域の範囲を拡大する、3.地域の中心すなわち核を明確にする、4.地域を充実し高度化する(pp.6-8)とありますが、道路と鉄道ではそれらの機能にどのような差異があるのでしょうか。古い本を読むのも良いものですね。

27日(木)
・5月から6月にかけて、逆都市化と公共交通の維持運営委員会での研究報告の他、日本の道路交通体系に関する勉強会の講師、第55回土木計画学研究発表会のスペシャルセッション「地域における 鉄道の存在意義 は?〜JR北海道の 路線存廃問題を考 える〜」への登壇、日本交通学会全国大会のシンポジウムの内容確定等々、研究の仕事が重なってきています。

26日(水)
・来月の都市交通研究所「逆都市化と公共交通の維持運営委員会」で研究報告をするので、その準備を本格化させています。

25日(火)
・1時間目から4時間目がゼミナール、5時間目が基礎演習でした。就職活動の内定が出始めているようです。

24日(月)
・きょうの学部講義「交通システム論」では、資料として警察庁「交通事故発生状況」内閣府「交通安全白書」国土交通省「鉄軌道の安全に関わる情報(平成27年度)」国土交通省「鉄道輸送統計調査」などを使います。平成27年度の鉄軌道の車両1億走行キロあたりの死傷者数は6.5人で(貨物含む、96.5億走行キロ、死傷者数625人。列車走行キロあたりでないことに注意。車両走行キロです)、1億走行キロあたり92.9人(平成27年)の自動車よりも安全です。

23日(日)
ポートランドのシティ・リペア運動のサイトを見つけました。直近ではナチュラル・ビルディング(自然を活かした建築物)、パーマカルチャー(永続的な文化?)もしくはエコロジカルランドスケーピング(環境に優しい庭づくり)、交差点のペインティングの3部門を中心に進めているようです。

22日(土)
・引き続き研究室の本や資料の電子化を進めており、pdfも含めて、全文検索できるようにしています。書名だけではなく、中身も含めて全文検索できるようにしています。

21日(金)
・10月7-8に和歌山市で開催する日本交通学会の打ち合わせを行いました。東京から来られた先生がE101教室(360人くらいはいる経済学部で一番大きい階段型の教室)の部屋名札が「E101教室」となっているのをご覧になって「教室なんですね」。木製の椅子が並ぶ様子から講堂に見えたようです。和歌山大学には残念なことに講堂と名のつく施設がないので、数年内に行われるであろう全面改修の際に少しお金をかけ、名称を和歌山大学講堂と改めれば大学の格が上がるのではないでしょうか。

20日(木)
ゆうちょ財団が郵便・物流分野に関する調査・研究助成の募集を今年度から始めたそうです。このほか研究室に関係する分野ではニッセイ財団高齢社会財団助成公募 の公募も行われています。

19日(水)
・交通政策・交通計画や観光系の学術誌で、J-STAGEで全文が閲覧できるのは、
交通権学会の『交通権』土木学会土木計画学委員会の『土木計画学研究・論文集』、その後継誌である土木学会の『土木学会論文集D3(土木計画学) 』交通工学研究会の『交通工学論文集』日本観光研究学会の『観光研究』アジア交通学会の"Asian Transport Studies"などです。運輸総合研究所の『運輸政策研究』も発行元のサイトで全文が閲覧できます(発行1年内の号を除く)。

18日(火)
・火曜日は1時間目から5時間目までゼミと基礎演習が連続しています。1時間目は4年生のゼミですが、就職活動まっただ中であることを考慮して、就活に関する情報交換を中心に進めています。もちろん卒業論文に向けた研究報告も必ず実施させるようにしています。

17日(月)
・各国の人口あたり自動車保有台数のデータは、
国際自動車工業連合会のサイトで、Facts and FiguresのWorld vehicles in useで入手することができます。2014年の全車種計の数値は、日本が人口1000人あたり607台で、2013年の602台、2012年の599台からやや上昇しています。2014年の中国は107台、韓国は402台です。

16日(日)
IPCC第5次評価報告書をふまえた環境省のパンフレット「STOP THE 温暖化 2015」もゼミ生は一読してください。
・日本の温室効果ガス排出量は、環境省「日本の温室効果ガス排出量の算定結果」に出ています。交通分野からの排出量は、国土交通省「運輸部門における二酸化炭素排出量」にあります。

15日(土)
・交通エコロジー・モビリティ財団が毎年発行している「運輸・交通と環境」は、辻本ゼミ生なら必読だと思います。

14日(金)
・専門誌『運輸と経済』を2002年4月号から2017年3月号まで電子化し終えました。数日かかりました。次は『交通学研究』、『運輸政策研究』と順番に電子化して全文検索できるようにします。

13日(木)
・本日の来訪者の相談事項は「熊野地域の外国人観光客の二次交通対策について」。熊野とは、日本大百科全書によると「紀伊半島南部、和歌山県の東牟婁(ひがしむろ)、西牟婁両郡と新宮(しんぐう)市、田辺(たなべ)市、三重県の南牟婁、北牟婁両郡と熊野、尾鷲(おわせ)両市をあわせた地域。つまり明治初期の廃藩置県以前は紀伊国牟婁郡であった地域の古い呼称である」。この説明はやや不正確で、田辺市(旧龍神村を除く)とするのが正確でしょう。旧龍神村は日高郡でした。
・「熊野地域の外国人観光客の二次交通対策について」は、要するに鉄道駅や南紀白浜空港等からの路線バス、タクシー、レンタサイクル、歩道等の環境整備をどうするかという話になるのでしょう。試しにヤフーの路線情報で関西空港から白良浜海水浴場を検索すると、白浜駅から徒歩58分と出ます。関西空港から那智の滝を検索すると、紀伊勝浦駅から徒歩121分と出ます。太地町立くじらの博物館も、太地駅から徒歩31分と出ます。いずれも非現実的なルートであり、現実には駅から路線バスやコミュニティバスが出ているのですが、現状、和歌山県関連でヤフー路線情報による検索が可能な路線バス会社は三重交通、奈良交通、龍神バス、和歌山バス、和歌山バス那賀のみであり、白浜町内等をカバーしている明光バスや、那智の滝へ至る熊野交通、各市町村のコミュニティバス等の情報は検索に反映されてこないのです。こういった二次交通の情報提供面の抜本的な改善は不可欠ではないでしょうか。

12日(水)
・本日は研究室の書籍の電子化作業を進めています。本や雑誌を次々に裁断機にかけて、スキャナでpdfにし、OCRをかけてパソコンに保存しています。バックアップも兼ねてグーグルドライブというクラウドストレージにも保存しているのですが、このような感じで表示してくれるので探しやすくて良さそうです。
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11日(火)
・本日より今年度のゼミナールが始まりました。ゼミ生は博士後期課程4名、修士課程4名、学部4年13名、学部3年10名、計31名です。一部の大学院生は学部のゼミやフィールドワーク科目にサポーターとして参加してくださっており大変ありがたいです。

10日(月)
・本日より講義が始まります。

9日(日)
・休みました。

8日(土)
・学習会の講師を、の依頼がありました。一度お断りしたのですが、どうしてもとおっしゃるのでごく一般的と思われる謝金の相場をお伝えしたところ、連絡が途絶えました。予算オーバーだったのでしょう。しかし学習会講師、講演会講師などをきちんとするためには準備に何日もかかるのですから、数万円のお謝金ではとても割に合わないのです。ダンピングしてまでお引き受けしたくはありません。

7日(金)
・平成29年度の和歌山大学の組織図はこのようになっています。特に秘密にしておくべき資料でもないので参考までに掲載します。なかなかに難解な組織図なのですが、私の所属は教員組織のひとつである人文社会科学系で、経済学部と経済学研究科と観光学研究科(博士後期課程)を担当し、運営支援組織の1つであるCOC+推進室(室長は副学長・理事)の副室長を兼務する、という形になります。学内だけでいくつの役職を持っているのでしょうか。学外の役職(審議会や協議会の会長等)を合わせると手足の指の数では収まらなくなってきます。soshiki









6日(木)
・平成28年度の受託研究の成果品は既に納入ずみなのですが、「追加で○○をしてもらえないか」の電話あり。契約期間は3月末で満了しているのですが、このあたりは委託者、受託者の双方が今後のお付き合いをよく考えながら、という大人の話になってくるでしょうか。「コンサルティング業界では3月は61日まである」との裏話をよく聞きますが、さすがにそのような事は勘弁して頂きたいです。

5日(水)
・研究室の整理2日目です。これまで大量の本や資料を入手しては書棚に並べて読んではきましたが、欲しい資料が欲しいときに見つからないなど、決して有効活用できていたわけではありませんでした。今後はなるべく電子化をし、OCRもかけて、全文検索できるようにしていきます。

4日(火)
・そろそろ新年度の講義の準備にかからねばなりませんが、本日は研究室の整理をしています。本や紙の資料が増えすぎたので、スキャナでpdf化し、OCRをかけて、Mendeleyに登録するという作業を地道にしています。

3日(月)
・新年度の仕事始めです。学科長の辞令が届きました。まだ予定ですが、COC+推進室の副室長などあと1、2の役職が追加で回ってくるようです。COC+推進室については前任者の金子教授(システム工学部)がひととおりの案内をしてくださいました。

2日(日)
・休みました。

1日(土)
・毎年恒例の人間ドックに入りました。集中的に検査するところを毎年変えるようにしています。